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真空吸着技術を備えた電動両面ピッキングプラットフォーム

高級化粧板をやさしく搬送

スイスのKronospan社は、HUBTEXの真空リフト付きピッキングプラットフォームEZK35を導入

 

キアンティ・オーク、クラシック・アッシュ、スイス・エルム―このような名前が付けられた木材素材には、特別な注意が必要です。Kronospan Schweiz AGが使用している製品名は、高品質でリアルな木目調デザインを意味しており、同期型の表面構造を持つことで、本物の木材と見分けがつかないほどの仕上がりとなっています。こうした製品は、目の肥えた顧客層をターゲットにしており、それだけに傷をつけずに丁寧に運搬することが何より重要です。


顧客にやさしい単品ピッキング
このような背景から、Kronospan Schweiz AGの倉庫管理チームはすでに2013年、ルツェルン地方のメンツナウにある生産拠点に最適なぴっくんぐソリューションを導入するべく、検討を開始しました。同拠点の準備ホールには920の棚にわたって様々な装飾用木質素材が保管されており、その厚さは8~5mmまで、サイズは2,800×2,070mm、質量は30kgから278kgにもなります。ここでは、2交代制で1日約100件の注文をピッキングしています。

当日16時までに届いた注文は、翌営業日に出荷され、顧客は1枚単位での注文も可能です。「Kronospanスイスグループの中で、専門販売業者に対して単品ピッキングという顧客重視のサービスを提供しているのは、当社だけです」とKronospanの経理・管理部門ディレクター、ユルク・マイヤー氏は強調します。通常、一件の注文には1から24アイテムの明細があり、年間では約21,000件のピッキングが行われています。

高品質な表面仕上げに対応
特に高品質な表面を持つ製品において、単品ピッキングは大きな課題となります。「板の積み重ねた状態からスライドさせて取り出すと、どうしても傷がついてしまいますし、手作業で持ち上げうるのは従業員にとって過酷すぎます。」と、Kronospan社で技術担当を務めるプロジェクトリーダーのミヒャエル・ホフシュテッター氏は説明します。

さらに、注文ごとにまとめられた木材の積み重ねは、トラックや鉄道によるその後の輸送時にも損傷が起きないよう、正確に整列される必要があります。こうした要求を受けて、Kronospan Schweiz AGは複数のソリューション提供企業に相談し、全自動および半自動のアプローチを検討しました。「コスト面から見ても、全自動のソリューションは早い段階から選択肢から外れました、特に既存のアーム式棚を引き続き使用したいという要望もありましたから」とホフシュテッター氏は当時を振り返ります。

建設的なパートナーシップ⁠⁠
2014年2月の選定フェーズの最終段階で、Rohrer-Marti社とHubtex社が提案した真空リフター付きピッキングプラットフォームEZK 35が採用されることになりました。「HubtexとRohrer-Martiは、既存の製品を私たちの特殊な要件や限られたスペース条件に合わせてカスタマイズする意思を示した唯一のサプライヤーでした」と、ユルク・マイヤー氏は語ります。

実際、Kronospan Schweiz AG向けに提供されたEZK 35は大幅に改良されました。2015年7月に納品されたこのピッキングプラットフォームには、自動の棚位置決め機能に加え、板材を車両上で正確にセンタリング・固定するための、これまでにない専用装置が搭載されています。以前は複数人で行っていた作業も、現在では1人の作業者がEZK 35に乗ったまま、すべての工程を完了できるようになりました。「プロジェクト構想の初期段階から完成まで、Hubtex社およびRohrer-Marti社との協力は非常にスムーズで、実に建設的なものでした」と、プロジェクトリーダーのミヒャエル・ホフシュテッター氏は高く評価しています。

正確なナビゲーションによるピッキング
ピッキング作業は、納品書に記載された4桁のコードと注文数量の入力から始まります。最初の1桁が通路番号、次の2桁が棚番号、最後の1桁が棚の高さを表します。作業者は、操作スタンドに設置された大型タッチパネルでこの4桁のコードを入力します。すると、目的の保管場所まで正確に自動ナビゲーションが行われます。このプロセスでは、保管通路に取り付けられたバーコードリーダー用のバーコード帯が重要な役割を果たします。通路の1cmごとに個別のバーコードが貼付されており、走行中に車体下部に取り付けられたスキャナーがこれを読み取ります。指定された棚位置のバーコードを検知すると、タッチパネル上のグラフィック表示に従って、作業者はジョイスティックで正しい棚の高さに移動し、そこから取り出し作業を開始します。

ここで、真空リフトが登場します。取り上げと埃の除去機能を備えたこの装置により、合計8個の蛇腹式吸盤が板材にしっかりと密着し、吸着、リフトアップして、正確にピッキングプラットフォームに積載されます。「各注文では、最初と最後に保護版を一枚ずつ挟むサンドイッチ方式で板材を保護します。この保護板の設置も真空リフトで簡単に行えます。」と、ホフシュテッター氏は説明します。板の表面や埃や汚れがある場合でも、内蔵されたブローオフ装置を使って、ワンタッチで吹き飛ばすことが可能です。

車両から降りる必要はありません。
板版がプラットフォーム上に設置されると、四隅に取り付けられた可動式のポールが自動的に位置を調整します。こうして、最大8mmの誤差で各層が正確に積み重ねられたパレットが形成され、HUBTEXはKronospanのさらなる要件にも応えることができました。最後の注文品の積載が完了すると、作業員は同様の手順で上部の保護版を設置し、すぐに結束作業に移ります。「この作業のために、作業員が車両から降りる必要も、高さを調節す津必要もありません。これにより作業時間を大幅に短縮できています。」と、ホフシュテッター氏は強調します。

車両内の限られたスペースを有効活用するため、作業バスケット全体は結束作業の前に半自動で右方向にスライドし、作業者が安全かつ快適にパレットの前方で作業できるようになります。PET製の結束バンドのロールはレールに吊り下げられており、作業者が簡単に結束位置まで引き出せます。そこでは、バンドの端をガイドに通し、圧縮空気モーターによってパレット全体または各単品ピッキング単位に巻き付けます。

また、バンドの下側の戻し工程についても新たな工夫が施されています。複数のピッキング品が1つのプラットフォーム上にある場合、それぞれを個別に結束できる必要があります。そのため、バンドの挿入側とは反対側に自動調整式の戻し装置が設けられ、ピッキング品の高さに応じて自在に対応できるよう設計されています。

その後、作業員はバンドの端を専用のハンドツールで溶着し、完成した注文品を引き渡し地点まで移動させます。

さらに、作業効率を高めるために、引き渡しを終えた直後、同じアーム式棚の最下段に設置された車両専用のセンタリング装置を使って、新たな板材のパレットを即座に受け取り、指定された棚に格納することも可能です。


人間工学に基づく効率的なワンオペレーション
新しい作業プロセスには、車両を交代で操作する4人の作業員がすぐに順応しました。「3日ほで習得期間は終了しました。」と、ホフシュテッター氏は語ります。

今後はさらに多くの従業員をピッキングプラットフォームのオペレーションに対応できるように教育し、病欠や休暇などの状況にも柔軟に対応できる体制を整える計画です。

まとめ: Kronospan Schweiz AGでは、2015年7月より導入された特注設計のピッキングソリューションにより、板材を非接触でピッキングすることが可能となりました。これにより、高品質な板材の傷のない出荷が保証されます。今後もKronospan Schweiz AGは顧客重視の単品ピッキングを最高品質で提供し続けることができると同時に、人間工学に基づいた効率的なワンマン作業によって作業効率の大幅な向上も実現しています。

マストを伸ばした状態のHUBTEX EZK35

マストリフト機能のおかげで、上段の棚も問題なくアクセスできます。

真空リフト付きHUBTEX EZK 35

内蔵された真空リフトによる非接触ピッキングにより、高品質なボードを傷つけることなく納品できます。

社内物流で使用されるHUBTEX電動両面ピッキングプラットフォームEZK35

人間工学に基づいた一人操作により、作業効率が向上します。

HUBTEX EZK 35 がナローアイル(狭い通路)に侵入する様子

プラットフォーム上にボードが下ろされると、四隅に取り付けられた可動式ポールが自動的に位置を調整します。

HUBTEX電動両面ピッキングプラットフォームEZK35

ボードの表面にホコリや汚れが付着している場合でも、内蔵されたエアブロー装置により、ボタンを押すだけで簡単に除去できます。

Kronospan Schweiz AGで稼働中のHUBTEX EZK 35

合計8つの蛇腹状吸着パットボードに密着し、ボードを吸着してピッキングプラットフォームに正確に配置します。