HUBTEXでは、お客様と密に連携しながら、個別のニーズに応じたインターフェース設計を行っています。これにより、複雑なシステム全体の中でも、車両と搬送設備との理想的な連携を実現しています。さらに、車両と倉庫管理システム（WMS）との最適な連携も確保しています。具体的な例としては、商品の寸法や重量に基づいて最適な保管場所を自動で割り出し、その情報をプロセス技術を通じて直接車両に送信します。次に、オペレーターが保管場所を入力すると、オプションで搭載可能な自動棚位置決め機能が作動し、車両が自動的かつ正確に、目的の棚の前に移動・停止します。また、「Hubtex Load Manager」によって、棚への入出庫作業をサポートしています。このシステムでは、リフトの高さを自由にプログラム設定でき、先述のシステムとの連携も可能です。最後に、オペレーターが最終位置を確認・承認すると、パレットは割り当てられた位置にミリ単位で正確に格納されます。これらすべてのアシスト機能は、「Hubtex Information Terminal（HIT3）」を通じて操作・管理することができます。

HUBTEXの車両プログラムにおいて、すべてに共通する汎用的な解決策というものは存在しません。ただし、特注機械のメーカーとしての私たちの強みは、お客様ごとに最適なソリューションを個別に設計・提案できることです。その際には、物流や生産の全体プロセスを総合的に考慮し、最も経済的かつ効率的な方法をお客様とともに検討します。車両制御と倉庫物流システム、倉庫管理システムとの連携や、バッテリーマネジメントシステムの統合などは、頻繁に取り組んでいるテーマです。

特殊車両の分野では、部分的あるいは完全に自動化されたソリューションへのニーズがこれまで以上に高まっています。実際、部分自動化と完全自動化の境界は、ますます曖昧になってきています。自動車業界での重量物搬送車や、木材業界でのピッキング車両などがその好例です。用途が多岐にわたり、搬送物の性質も多様なため、個別に対応した特注ソリューションが多く求められています。近年では、車両にアシストシステムを多数搭載することが重要になっており、これにより人と荷物の安全性向上や、プロセスの効率化が図られています。その一例が、倉庫管理システムと連携した（半）自動の棚位置決め機能です。当社の主力製品である電動多方向フォークリフトでは、今後、中長期的に見て長尺物の搬送が大部分自動化されると考えています。

特殊車両・専用車両分野では、以前から自動化が継続的なテーマとなってきました。一方で、当社の主力製品である電動マルチダイレクショナルサイドローダーにおいては、現時点で長尺物のハンドリングに特化した完全自動化ソリューションは市場に存在しないと認識しています。そのため、当社では新型「PHOENIXシリーズ」のベースモデルから段階的な自動化を見据えた設計を採用しています。新世代の車両制御システム、事前に設計されたケーブル配線、センサー取り付け位置など、将来的な拡張を想定した仕様が施されています。また、必要に応じて各種アシストシステムを搭載可能です。たとえば、このシリーズで初めて導入されるレーザー誘導ナビゲーションにより、車両をミリ単位で正確に位置決めできるようになります。当社の自動化へのアプローチは、まずアシストシステムの導入から始まり、最終的には完全自動化された車両へと段階的に進化していく構想です。この先進的な取り組みにより、お客様がデジタル時代の課題に柔軟に対応できるよう支援しています。最終的には、すべてのソリューションがそれぞれの現場の要件に合致していることが重要です。

昨年、当社では全車両向けに遠隔メンテナンス機能を大幅に強化しました。このソフトウェアにより、サービス技術者がリアルタイムで車両の詳細なメンテナンス状態を把握でき、予防的な保守対応を行うことが可能になりました。これにより、高コストのダウンタイムや生産停止のリスクを大きく軽減できます。さらに、車両と「IoT（モノのインターネット）」クラウドとの間で自動的にデータが交換される仕組みを導入しています。この遠隔保守ソフトウェアをすべての車両に標準装備していくことは、IoT時代に対応した「スマートな設備」への第一歩であり、バリューチェーン全体と連携するための重要な要素となっています。